嘔気・嘔吐
Scroll嘔気・嘔吐は非常に一般的な症状です。嘔気・嘔吐の原因は胃や小腸、胆嚢、膵臓など消化管臓器由来の症状である場合が多いですが、脳卒中に代表される中枢神経(脳)の病気でも起こりうる症状です。また女性の場合は妊娠に関連する症状としても有名です。さらに嘔気・嘔吐は重症度の点からも幅が非常に広く、軽症の胃腸炎から重度の脳卒中まで原因が多岐にわたります。そのため嘔気・嘔吐で悩んでいる際には早めに内科専門医を受診してください。
嘔気・嘔吐の原因について
消化器系疾患
①消化管が詰まった(腸閉塞など)
食べ物の通り道である消化管が詰まることで嘔気・嘔吐を引き起こします。代表的な原因はお腹の手術後に腸管が癒着して腸閉塞を起こすことがあります。その他の原因として大腸がんなどによる腫瘍による大腸閉塞、上腸間膜動脈症候群(血管で腸が挟まれる)による十二指腸閉塞などが挙げられます。
②感染性疾患(急性胃腸炎など)
一番多い原因であり、ほとんどがウイルス性の胃腸炎です。下痢を伴うこともあり、脱水には注意が必要です。血便もある場合は便培養で細菌の感染症があるか確認する場合があり、その場合は抗生剤の治療が必要になります。基本的には数日で軽快します。
③炎症性疾患(胆嚢炎など)
腹部の臓器の炎症が嘔気・嘔吐を引き起こすことがあります。原因としては胆嚢炎や胆管炎、急性膵炎、急性肝炎、虫垂炎(通称 盲腸)などがあります。腹部で炎症が起きている際は通常腹痛などの症状を伴うため、嘔気・嘔吐以外の症状を伴っている場合は血液検査や腹部超音波、必要に応じてCTなどの画像検査を行います。
④消化管運動性疾患
血液検査、腹部超音波や胃内視鏡検査(胃カメラ)などで精査をしても原因が特定できない病態は胃の蠕動運動の低下による機能性胃腸障害などが該当します。胃内の食物残渣が停滞することで嘔気・嘔吐などの症状を呈します。基本的に治療は胃運動改善役になります。
消化器系以外の疾患
①脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)
緊急性の高い嘔気・嘔吐の原因の筆頭になります。特に突然に発症した嘔気・嘔吐であればくも膜下出血、ものが二重に見えたり片麻痺がある場合は脳梗塞などの可能性を考える必要があります。また血圧が異常に高くなることも脳卒中の可能性を考えるサインになります。
②激しい痛み
激しい痛みは時に嘔気・嘔吐を引き起こします。尿路結石は突然強い背中や腰の痛みを訴えます。緑内障発作は目の眼圧が急激に高くなり、突然頭痛や嘔気・嘔吐を引き起こします。心筋梗塞は胸痛を伴う嘔気・嘔吐を引き起こします。
③めまい性疾患
メニエール病に代表される平衡感覚を司る内耳が障害される疾患の場合、耳鳴りや嘔気・嘔吐を引き起こします。めまいは周りがクルクル回る回転性めまいが特徴的です。
嘔気・嘔吐の検査
嘔気・嘔吐の原因は多岐にわたるため、まずは症状に関する問診が大切です。その上で、血液検査や画像検査が検討されます。特に胃内視鏡検査(胃カメラ)は胃や十二指腸に病変がないか明らかにすることが可能です。
嘔気・嘔吐の治療法について
嘔気・嘔吐の原因をしっかり推測し治療を行うことが大切です。消化器疾患など、対応可能な場合につきましては、当クリニックで治療を行います。それ以外の疾患が原因として考えられる場合には、連携する専門機関をご紹介させていただく場合もあります。特に脳卒中が原因の場合は救急搬送が必要になる場合もあるため、めまいで辛い時は遠慮せず当院を受診してください。
嘔気・嘔吐の緊急性のあるサイン(レッドフラグ)
生命の危機に関わる重大な疾患があると呈することが多い所見をレッドフラグと言います。嘔気・嘔吐のレッドフラグは、突然発症、頭痛を伴う、呂律が回らない(喋れない)、片半身に麻痺がある、血圧が異常に高いまたは異常に低い、などが挙げられます。そのような場合は脳卒中の可能性がありますので、緊急での医療機関の受診が必要です。
嘔気・嘔吐があったら
もし嘔気・嘔吐で日常生活に支障が出ている場合は消化器内科専門医を受診してください。診察、検査の上マネージメントが可能ですので、ご相談ください。