潰瘍性大腸炎について

Scroll

潰瘍性大腸炎(UC)とは大腸の慢性炎症性腸疾患(IBD)の一つです。未だに原因が特定されておらず、特定疾患治療研究対象に指定された難病になります。潰瘍性大腸炎の患者さんは日本では20万人を超え、軽症を含めると年々増加しています。発症のメカニズムは現在も解明されていませんが、直系の親族で潰瘍性大腸炎の発症を複数認めることを経験することも多いため、何かしらの遺伝子の異常が背景にあるのではとも考えられています。

潰瘍性大腸炎の症状

潰瘍性大腸炎の主な症状には、以下が含まれます。

  • 下痢:血便や粘液の混じった下痢が頻繁に起こります。
  • 腹痛や腹部不快感:軽度から重度までの腹部の痛みがあります。
  • 血便:大腸の炎症によって生じるため、便中に血が混じることがあります。
  • 下痢や出血による貧血:慢性的な出血や栄養吸収の問題により、貧血を引き起こす可能性があります。
  • 発熱や体重減少:全身的な症状も発生することがあります。

基本的に潰瘍性大腸炎は“慢性”の疾患であり、数日〜1~2週間の経過の症状ではありません。上記の症状が数ヶ月続いて、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で初めて診断される疾患になります。

潰瘍性大腸炎の特徴

潰瘍性大腸炎の特徴は症状が慢性的(長期的)に続くことです。慢性的に大腸粘膜が炎症により傷害され、粘膜が傷ついている状態のびらんや粘膜が欠損し深掘れの状態である潰瘍を形成します。そのため慢性的に腹痛や下痢を引き起こし、また容易に出血するため粘液を伴ったドロッとした血便も引き起こします。また病変の主座が直腸であるため、残便感の原因にもなります。そのため食事摂取量が低下し、また全身の炎症に伴い体力を消耗することで体重減少を引き起こします。

潰瘍性大腸炎の診断

まずは問診を行い、慢性的な経過の症状であることを確認します。潰瘍性大腸炎の鑑別となる病気は感染性腸炎や抗生剤に起因する腸炎、放射線性直腸炎などがあります。まずは便の培養検査を行い、明らかな感染性腸炎がないか確認を行います。そして大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行うことで診断を行います。この際に内視鏡での診断と組織を採取し病理学的に評価を行い、総合的に診断をします。潰瘍性大腸炎の内視鏡での特徴としては、炎症が起きている粘膜が肛門に近接する直腸から連続的に起こっていることです。つまり大腸の中でもお尻側から病変が発生し、それが口側へ逆走するパターンを示す特徴があります。

潰瘍性大腸炎の治療

潰瘍性大腸炎の治療は、症状の軽減や炎症の抑制、再発の防止を目指します。そして現在は大腸がんの発がん性を限りなく抑えるため、組織学的(病理学的)な炎症の消失までを目標とすることが一般的です。治療法は個々の症例によって異なりますが、一般的な治療法には以下のようなものがあります。

①薬物療法

5-ASA製剤

治療の基本になります。病勢を落ち着かせる寛解導入療法だけでなく、落ち着いた状態を維持する維持療法にも使用されます。軽症と中等症までの潰瘍性大腸炎であれば5-ASA製剤単独で寛解(病勢が落ち着いている)の維持が可能です。潰瘍性大腸炎は大腸に起きる病気であり、薬を飲んでも大腸に到達した段階で効果を発揮させる必要があります。そのため各薬剤は色々な工夫をして大腸で薬剤の効果が発揮できるように製造されています。

ペンタサ
小腸から大腸にかけて徐々に溶けるように設計された薬剤で、消化管通過時間依存性に薬剤を放出します。坐剤と併せることで効果の上乗せが期待できます。

アサコール
腸内環境の酸性度の指標であるpHが7以上になるとコーティングが解けるように設計されています。胃酸の影響が少なくなる部位で効果を発揮するため、主な作用部位は回腸の一部と主に大腸になります。

リアルダ
小腸でpHに依存的にコーティングが溶解し、特殊な製剤技術であるMMXテクノロジー(マルチマトリックス:親水性基剤と新油性基剤)を使用し、大腸全体に持続的に薬剤が放出されるように設計されている薬剤です。

ステロイド

中等症以上の潰瘍性大腸炎に対し、点滴、または注射薬として用います。原則的に病勢を落ち着かせる寛解導入療法で使用する薬剤です。最近では注腸フォームである泡製剤もあり、治療の選択肢が広がっています。

免疫抑制剤

主にステロイドを使用しても病勢がコントロールできない時に選択されます。アザチオプリンやタクロリムスなどの薬剤が該当します。

生物学的製剤(バイオ製剤)

生物が作る抗体などのタンパク質を利用して作られた新しい系統の薬剤で、潰瘍性大腸炎の新たな選択肢として近年研究が盛んに行われています。主にステロイドなどの従来治療で効果が不十分な場合に選択されます。インフリキシマブ、アダリムマブやゴリムマブなどが該当する薬剤です。

②栄養療法

潰瘍性大腸炎の活動期では脂質の多い食など刺激の多い食事は避けた方がいいでしょう。また栄養療法として成分栄養剤(商品名:エレンタール)も炎症性腸疾患(IBD)に対して使用されることがあります。状態が落ち着いている患者さんには過度な食事制限などは不要です。

③手術

薬物療法や栄養療法が効果的でない場合や合併症が生じた場合には、大腸全摘除手術が必要になることがあります。ただし、手術の適応は潰瘍性大腸炎の治療に精通した消化器内科医と外科医によって慎重に判断される必要があります。

潰瘍性大腸炎の医療費助成制度

潰瘍性大腸炎は厚生労働省が指定する指定難病であるため、診断された場合、医療費助成制度の対象になる場合があります。重症度※1が中等度または重度の患者さんが対象となります。しかし軽症の患者さんであっても、長期に高額医療の継続が必要な場合※2には、助成の対象となります。

※1:重症度は、厚生労働省の定める「臨床的重症度分類」に従って医師が評価(下図)
※2:月ごとの医療費総額が33,330円を超える月が年間3回以上ある場合

潰瘍性大腸炎の重症度

重症 中等症 軽症
① 排便回数 6回以上 重症と軽症の間 4回以下
② 顕血便 (+++) (-)~(+)
③ 発熱 37.5度以上 (-)
④ 頻脈 90/分以上 (-)
⑤ 貧血 Hb 10 g/dL以下 (-)
⑥ 赤沈 30 mm/h以上 正常

顕血便の判定
(-)血便なし
(+)排便の半数以下でわずかに血液が付着
(++)ほとんどの排便時に明らかな血液の混入
(+++)大部分が血液

重症度
軽 症:上記の6項目を全て満たすもの
中等症:上記の軽症、重症の中間にあたるもの
重 症:①及び②の他に、全身症状である③又は④のいずれかを満たし、かつ6項目のうち4項目を満たすもの

メッセージ

血便や腹痛、下痢などの症状でお困りの際は、いつでもご相談ください。当院は消化器内科のクリニックですので、胃カメラ・大腸カメラや腹部超音波など専門的な検査が可能です。

ご予約はこちら

ご予約はWEB予約、またはお電話よりお願い致します。

082-434-8811

【診療時間】9:00~13:00/15:00~18:00
※火・木・土は午後休診になります。 
【休診日】日・祝/祭日・お盆・年末年始

Page top