大腸メラノーシスについて

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大腸メラノーシスとは大腸の粘膜が色素(リポフスチン)の沈着により黒色に変化する状態のことを指します。大腸メラノーシスの原因ははっきりしており、刺激性下剤(腸管を動くように刺激して便秘を解消する薬)の服用、特にアントラキノン系薬剤、アロエ、大黄などを主成分とする薬剤やサプリの長期内服が原因となります。大腸メラノーシスは良性の病態ですが、背景には便秘に対する刺激性下剤の依存があり、その悪循環を断つためにも非刺激性下剤への移行を進めることが大切です。

大腸メラノーシスの原因

大腸メラノーシスの原因は刺激性下剤の長期の使用です。刺激性下剤は便秘に対する効果が高い薬ですが、徐々に耐性化し、必要な量がどんどん増えていく傾向がある依存性の薬です。刺激性下剤で大腸メラノーシスの原因となるものとしては以下のものが挙げられます。非刺激性の下剤は大腸メラノーシスの原因にはなりません。

アロエ

アロエを薬剤と認識していない方もいますが、アロエを含むサプリメントなども便秘に対する効能で販売されており、大腸メラノーシスの原因になります。

アントラキノン系薬剤

センノシドやセンナの名前で有名ですが、これらは古くから便秘に使用される薬剤で広く使われています。大腸の蠕動運動を調整する神経叢を直接刺激することで排便を促進します。

大黄

センノシドの成分を含む大黄は漢方薬の主要な成分でありアントラキノン系薬剤の代表的な薬剤です。防風通聖散®、大黄甘草湯®、麻子仁丸®、桃核承気湯®、柴胡加竜骨牡蛎湯®、大柴胡湯®、乙字湯®などの漢方薬が大黄を含んでいます。

上記の他にもダイエットや便秘解消などを広告として販売されているサプリメントなどは上記の成分を含んでいる可能性があるため、長期に連用される場合は成分の確認をした方がいいでしょう。

大腸メラノーシスの症状

大腸メラノーシスは基本的に症状をきたしません。しかし、便秘薬の内服による所見であるため、背景に便秘がある場合がほとんどです。さらに大腸メラノーシスよる腸の蠕動運動を司る神経叢が変性し、さらに便秘が悪化する負のサイクルに陥る可能性があります。

大腸メラノーシスは内視鏡でどのように見える?

大腸メラノーシスは大腸の粘膜が黒色に変化し、ヒョウ柄のような模様になる場合が多いです。

Kuriyama A. Melanosis Coli. Jma j 2021;4:291-292. According to the Creative Commons license.

Zhao W, et al. Case report: Melanosis coli combined with colon cancer, causality or coincidence? Front Surg 2022;9:973883. According to the Creative Commons license.

大腸内視鏡検査について

大腸メラノーシスと大腸がん/大腸ポリープ

大腸メラノーシスで大腸が黒色になると大腸がんやポリープが増えるかというと、その点は明らかになっておりません。ただし、大腸の粘膜が黒色になりますが、大腸ポリープ(腺腫)は色調が変化しないため、より大腸ポリープが発見しやすくなると言われております。

(特に)刺激性下剤を連用しないと排便がない場合は?

刺激性の下剤は効果が高い薬剤ではありますが、耐性化し必要な量がどんどん多くなります。その結果として大腸メラノーシスの状況となり、大腸の動きが鈍くなっていきます。そのためまず第一歩として刺激性下剤の連用を中止し、非刺激性下剤の使用への切り替えが望まれます。現在非刺激性下剤は浸透圧下剤の酸化マグネシウム(マグミットなど)やラクツロース(ラグノスなど)を筆頭にルビプロストン(アミティーザ)、リナクロチド(リンゼス)、エロビキシバット(グーフィス)など有効な薬が登場してきました。これらの便秘薬は安全性が高いため、専門医に相談の上、切り替えを検討しましょう。刺激性下剤は原則レスキュー薬(いざという時に使用)としての使用がいいでしょう。

大腸メラノーシスは改善するの?

原因となる下剤を中止することで、大腸の色調は徐々に改善します。個人により程度は異なりますが、数年の時間をかけて改善していきます。そして大腸メラノーシスの改善とともに、排便習慣も改善していく場合が多いです。

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