胃粘膜下腫瘍について

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胃を含む消化管の壁は薄い膜が何層にも重なっている構造になっています。一般的な“胃がん”はその一番表層(内側)である粘膜から発生する腫瘍になります。胃粘膜下腫瘍はその名の通り、粘膜の下の層を起源とする腫瘍になります。内視鏡的には胃の壁が下から押し上げられている。

胃粘膜下腫瘍の症状

基本的に胃粘膜下腫瘍に症状はありません。ほとんどの場合、他の理由で実施した胃カメラの際に発見されます。腫瘍のサイズが大きくなると胃の圧排に伴い胃の内容物の排出が遅延し、胃もたれや吐き気などの症状をきたします。また稀に腫瘍の隆起の頂上付近が潰瘍を形成し、出血の原因となります。

胃粘膜下腫瘍の診断

他の理由で撮影したCT検査などで胃に腫瘍性変化があった場合、胃粘膜下腫瘍の診断は胃内視鏡検査(胃カメラ)で行います。腫瘍の位置やサイズなどの情報から、腫瘍の組織を推測します。サイズが15mmを超えてくると実際に組織を採取する場合があり、その場合は超音波内視鏡検査による穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)が必要になります。その他には造影剤を使用したCT検査で腫瘍の位置や転移の病変があるかなどの評価を行います。

胃粘膜下腫瘍の種類

GIST(消化管間葉腫瘍)

消化管壁の一部から発生する悪性腫瘍の一つがこのGISTです。組織学的な悪性度の程度はサイズや組織学的な判断が必要ですが、基本的に切除が望まれる腫瘍です。

異所性膵(迷入膵)

膵臓は胃の背部に隣接する独立した臓器ですが、その組織の一部が発生段階の影響で胃の壁に存在する状態です。胃の前庭部(出口付近)に好発し、頂上付近が軽く凹む所見が特徴的です。基本的に切除の必要はありません。

平滑筋腫

消化管の平滑筋腫は全ての消化管でも発生する良性腫瘍になります。胃の蠕動運動を担う筋肉である平滑筋から発生する腫瘍であることから、“平滑筋腫”と名付けられています。基本的に切除の必要はありません。

そのほかリンパ管腫や神経鞘腫などが稀ですが、報告されています。

胃粘膜下腫瘍の治療方法

サイズが15mm以下の胃粘膜下腫瘍は定期的な胃内視鏡検査での経過観察が行われます。サイズが大きくなると超音波内視鏡での組織学的な診断が行われます。
組織検査でGISTと診断された場合は切除が行われます。切除の方法は外科的な切除が一般的ですが、最近では内視鏡治療と外科の手術を融合したLECS(腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除術)が行われることがあります。

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