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「アミラーゼが低い」と指摘されました

健康診断の結果を見て、「アミラーゼが低い」という項目に不安を感じていませんか?

「アミラーゼ」という言葉自体、あまり聞き慣れない方も多いかもしれません。アミラーゼは、炭水化物を消化するために重要な役割を果たす酵素で、主に膵臓と唾液腺から分泌されます。健康診断では、血液中のアミラーゼの量を測ることで、これらの臓器の状態を把握する手がかりとします。

アミラーゼの値が基準値よりも高い場合は、急性膵炎や胆石などが疑われることがあります。一方で、今回のコラムのテーマである「アミラーゼが低い」場合はどうなのでしょうか?

実は、アミラーゼが低いこと自体が直接、命に関わるような緊急性の高い病気を意味することは非常に少ないです。 しかし、まれに体の内部で進行している病気のサインである可能性もゼロではありません。この記事では、「アミラーゼが低い」と指摘された方がどう考え、どう行動すべきかについて、消化器内科の専門家の視点から詳しく解説します。

アミラーゼが低値となる主な原因

アミラーゼが低値を示す原因はいくつか考えられます。その多くは、病的意義のないアミラーゼ値の低下ですが、膵臓や唾液腺といった、アミラーゼを分泌する臓器の機能が低下している場合もあります。

1. 慢性膵炎の進行

慢性膵炎は、膵臓に炎症が繰り返し起こり、徐々に組織が線維化し、硬くなっていく病気です。病気が進行すると、膵臓のアミラーゼを分泌する細胞が破壊されていき、血液中のアミラーゼ値が低下します。アミラーゼ値が低下している慢性膵炎は膵臓の組織が荒廃した末期の状態です。

慢性膵炎の主な原因は、過度な飲酒や喫煙、高脂質の食事、自己免疫疾患などです。初期には自覚症状が少ないこともありますが、進行すると腹痛や背中の痛み、下痢、体重減少などの症状が現れることがあります。

2. 重度の糖尿病

糖尿病は、インスリンというホルモンの働きが悪くなり、血糖値が高い状態が続く病気です。特に長期間にわたる重度の糖尿病では、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞だけでなく、アミラーゼを分泌する外分泌機能も低下することがあり、その結果、アミラーゼ値が低くなることがあります。

3. 遺伝的な要因や生まれつきの体質

アミラーゼの量が生まれつき少ない方もいます。これは病気ではなく、遺伝的な体質によるものです。この場合、特に自覚症状はなく、健康上の問題もないことがほとんどです。

「アミラーゼが低い」と指摘されたらどうする?

健康診断の結果だけで、すぐに「病気だ」と結論づけることはできません。しかし、低値の原因が何であるかを明らかにするために、以下のステップを参考にしてください。

ステップ1:他の検査項目と症状を確認する

まずは、健康診断の結果用紙をもう一度じっくり見てみましょう。アミラーゼ以外に、以下のような項目に異常がないか確認してください。

  • リパーゼ:アミラーゼと同じく膵臓から分泌される消化酵素です。アミラーゼよりも膵臓の病気に特異性が高いとされています。
  • 血糖値HbA1c:糖尿病の指標です。
  • 中性脂肪コレステロール:脂質異常症の指標です。

また、ご自身の体に以下のような自覚症状がないか振り返ってみましょう。

  • 持続的な腹痛や背中の痛み
  • お腹の張りや不快感
  • 慢性的な下痢や便秘(特に脂肪成分を含んだ下痢)
  • 体重の減少

これらの項目に異常があったり、自覚症状がある場合は、より注意が必要です。

ステップ2:消化器内科を受診する

健康診断でアミラーゼの低値を指摘された場合、最も推奨される行動は、消化器内科を受診することです。 当院のような消化器専門クリニックであれば、より詳細な検査や専門的な視点からの診断が可能です。

「症状もないし、様子を見てみよう」と自己判断で放置することは避けましょう。 症状がない段階で病気の兆候を発見し、早期に対処することが、重症化を防ぐ最も重要なポイントだからです。

当院では、問診で生活習慣や自覚症状を詳しく伺った上で、必要に応じて以下のような精密検査を提案します。

【主な精密検査】

  • 血液検査:膵型アミラーゼ、リパーゼ、膵臓腫瘍マーカーなど、より詳細な項目を調べます。
  • 腹部超音波検査(腹部エコー):超音波を使って、膵臓や肝臓、胆のうの状態をリアルタイムで確認します。膵臓の大きさや形、内部の状態、石の有無などを調べることができます。
  • CT・MRI検査:より精密な画像を撮影し、膵臓の病変や周囲の臓器との関係を詳細に調べます。

これらの検査結果を総合的に判断し、アミラーゼが低い原因が病気によるものなのか、それとも体質によるものなのかを正確に診断します。

アミラーゼの低値と上手に付き合うために

もし、精密検査の結果、病気ではないと判断されたとしても、アミラーゼの低値は、膵臓の機能が低下しているサインである可能性もあります。将来的な健康リスクを減らすために、日々の生活習慣を見直すことが重要です。

1. 食生活の改善

膵臓に負担をかけない食事が基本です。

  • バランスの良い食事:過度な糖質制限はせず、適度な炭水化物、良質なたんぱく質、脂質をバランスよく摂取しましょう。
  • 脂質の摂取を控える:脂質の多い食事は膵臓に大きな負担をかけます。揚げ物や肉の脂身などは控えめにしましょう。
  • アルコールを控える:飲酒は慢性膵炎の最大の原因の一つです。できるだけ飲酒量を減らすか、休肝日を設けるようにしましょう。

2. 禁煙

タバコは、膵臓がんや慢性膵炎のリスクを高めることが分かっています。この機会に禁煙を強くおすすめします。

まとめ

「アミラーゼが低い」という健康診断の結果は、一見すると軽視されがちかもしれません。しかし、その背景には、自覚症状がないまま進行している病気が隠れている可能性もゼロではありません。

不安を感じた場合は、決して自己判断で放置せず、まずは消化器内科を受診して専門医に相談してください。早期に原因を特定し、適切な対処を始めることで、ご自身の健康を長く守ることができます。

ご自身の体は、定期的な健康診断や小さな変化を通して、たくさんのサインを送ってくれています。そのサインを見逃さず、日々の健康管理に活かしていきましょう。

もしご相談を希望される場合は、お気軽にご相談ください。皆様の健康をサポートできるよう、精一杯努めてまいります。

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