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がん検診で受けた”腫瘍マーカー検査”が異常値だったら…

みなさんがん検診を受ける際にオプションを選ぶことがあるかもしれません。その際によくオプション項目として選ばれるのが”腫瘍マーカー”です。がん検診とはがんを早期発見早期治療する目的で行われています。特に前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAはがん検診でも有用性が期待できると言われております。一方消化器内科の外来をしているとよくがん検診で腫瘍マーカー(特にCEA, CA19-9, CA125)の異常値を指摘され専門外来を受診される方がいます。消化器内科の専門家としては『がん検診において、がんを早期発見するためにPSAを除く腫瘍マーカーは有用ではない』と考えます。

腫瘍マーカー(tumor markers)は、体内に存在する腫瘍やがんの存在を示すための生物学的な指標です。これらのマーカーは通常、がん細胞が産生または放出する特定の分子や物質であり、血液、尿、組織サンプルなどの検体中で測定されます。がん検診で測定されるのは主に血液検査になります。

腫瘍マーカーの役割は主に2つあり、①腫瘍(がん)の診断の補助的役割と、②抗癌剤などの効果判定の材料の一つとして使われます。また一般的に腫瘍マーカーが上昇するがんはすでに進行がんが多く、早期がんで上昇することは稀とされています。

前立腺がん検診としてのPSA測定は有用性が報告されておりますが、過剰診断などの問題点もあり前立腺がんの診断には泌尿器科専門医との連携が重要です。

肝臓がんでは疾患に特徴的な腫瘍マーカーであるAFPとPIVKA-2は画像と合わせて肝臓がんの診断の根拠となります。ウイルス性肝炎や肝硬変の方は肝臓がんの高危険度群として頻回な腫瘍マーカーの測定と画像検査が強く推奨されております。

進行がんに対して手術や抗がん剤治療、放射線治療を行った患者さんの経過を診るための効果判定やがんが再発する時の目安として使用することはがん治療の領域では通常診療として用いられています。

卵巣がんや他のいくつかの疾患の診断およびモニタリングに使用される腫瘍マーカーの一つです。CA125は腹膜上皮細胞に由来する抗原であり、血液中に放出されることがあります。このマーカーは主に卵巣がんの診断や進行のモニタリングに利用されますが、他の疾患でも上昇する可能性があります。

PSA(Prostate-Specific Antigen)は、前立腺がんの診断やモニタリングに使用される腫瘍マーカーです。前立腺は男性の生殖器系に存在する小さな臓器で、前立腺がんは男性のがんの中でよく見られるものの一つです。PSAは前立腺細胞から分泌される特定のタンパク質であり、その血中濃度を測定することで前立腺がんの可能性を評価する手段となります。ただし、PSA値が高いとがんの可能性が高いとは限らず、良性前立腺肥大症や前立腺炎などの他の前立腺関連の問題でもPSA値が上昇することがあります。

CEA (Carcinoembryonic Antigen)は、特に消化器系および膵臓がん、大腸がんなどの悪性腫瘍の診断やモニタリングに用いられる腫瘍マーカーの一つです。CEAは通常、正常な胎児組織で見られる胚細胞抗原の一部がん組織から分泌され、血液中に検出されるものです。

AFP (Alpha-Fetoprotein)は、主に胎児の肝臓や脾臓などの組織で産生されるタンパク質です。 AFPは特に肝臓がんや卵巣がん、睾丸がんなどの一部の悪性腫瘍の診断やモニタリングに用いられます。これらのがんの細胞がAFPを産生することがあるため、血中のAFP濃度が異常に高い場合、これががんの存在を示唆することがあります。

CA19-9は、腫瘍マーカーの一種であり、特に膵臓がんおよび一部の消化器系のがんの診断やモニタリングに使用されます。CA19-9は糖蛋白質の一種であり、膵臓および胆道のがん細胞から放出されることがあります。

HER2 (Human Epidermal Growth Factor Receptor 2)は、細胞の増殖と分化に関与するタンパク質であり、乳がんなどのがんの一部で過剰に発現することがあります。HER2は一種の受容体で、細胞表面に存在し、エピダーマルグロースファクター(EGF)と結合して細胞の成長と分裂を促進します。

NSE (Neuron-Specific Enolase)は、主に神経組織で産生される酵素の一種であり、脳や神経系の細胞で特に高い濃度で見られます。NSEは神経細胞のエネルギー産生に関与しており、神経組織の損傷や疾患において血液中に放出されることがあります。NSEは神経系の疾患や損傷、神経内分泌細胞由来の腫瘍などの診断やモニタリングに使用されることがあります。例えば、小細胞肺がん(Small Cell Lung Cancer, SCLC)などの神経内分泌腫瘍ではNSEが増加することが一般的です。また、脳損傷や脳梗塞などもNSEの上昇を引き起こすことがあります。

腫瘍マーカーの上昇する原因は様々です。CEA(正常値0~5 ng/ml)を例にとると、わずかな上昇である5-10 ng/mlで紹介される方がほとんどです。このレベルであれば進行がんは稀であり、多くの場合は喫煙や加齢、良性疾患(腎不全、膠原病、炎症性疾患など)がほとんどです。また原因不明の上昇の方もおり、一概に上昇の原因は特定できません。20 ng/mlを超える上昇の場合は悪性腫瘍を考えなければいけない上昇となります。

腫瘍マーカーの異常値で専門外来を受診した際に、我々専門医はがんがあるかないかを判断しなければなりません。消化器内視鏡専門医は内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)で精査を行います。CT画像も撮影するでしょう。では精密検査でがんが見つからなかったらがんは否定できるのでしょうか?答えは”NO”です。がんがないことを証明することは悪魔の証明と同じで証明することは困難に等しいです。もちろん受診者の方の希望が優先ですので、希望がありましたら当院でも対応させて頂きます。しかしオプション検査を選び、がんが否定できないことで今後不安な気持ちを持ち続ける可能性があることには注意が必要です。わからない点がありましたら一度専門医にご相談ください。

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