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便潜血検査が陽性だけど、大腸カメラを受けないリスクは?②

便潜血検査が陽性で大腸内視鏡を受けない場合、累積での大腸がん死亡率が受けた場合と比較すると約2倍になると前回の記事で説明しました。特に大腸内視鏡はポリープを切除することで将来的な大腸がんの予防にもなっており、累積大腸がん罹患率も約5年で逆転することは印象的でした。今回は中国からの研究です。精密検査としての大腸内視鏡は別の研究ではどのように評価されているのでしょうか?

Zhu Y et al. Nonadherence to Referral Colonoscopy After Positive Fecal Immunochemical Test Results Increases the Risk of Distal Colorectal Cancer Mortality. Gastroenterology. 2023;165(6):1558-60.e4.

この研究も前回の研究と同様のコホート研究です。コホート(研究の集団)を構成するのは中国在住の人です。この研究は住民対象の集団(population based cohort)で40~74歳の595,180人が研究対象になっています。

-便潜血検査と大腸内視鏡検査は、集団ベースの大腸がんスクリーニングにおいて推奨される方法である。

-しかし、便潜血検査陽性者の大腸内視鏡検査の受診率は依然として最適ではない。

-特に大腸内視鏡検査を受けなかった便潜血検査陽性者の大腸がん発生と死亡の長期リスクに関するエビデンスは、特に 50 歳未満の若年成人では限られている

-大腸がんの長期リスクが解剖学的部位(右半大腸、左半大腸)によって異なるかどうかも不明である

-大腸がん累積死亡リスクは10年間で1.85倍である。

-40代では他の年代より大腸がん死亡リスクが高く、2.01倍である。

-左半大腸がん発生率は1.36倍である

-右半大腸がん発生率は1.11倍である

この研究は中国で行われ、595,180人の対象者のうち、便潜血検査が陽性で大腸内視鏡検査を受けた42,353人と、便潜血検査が陽性で大腸内視鏡検査を受けなかった32,070人が観察の対象となっています。主要評価項目(一番観測したい出来事)は前回の研究と同様で、大腸がんの発生(診断)と大腸がんによる死亡です。専門的な話になりますが、解析方法は生存時間分析で行われています。

Aの全体の解析のグラフを見ると大腸がんの診断は前回の研究と同様に最初の数年は大腸内視鏡検査を受けたグループで多くなりますが、6年目付近で大腸内視鏡検査を受けてないグループが一転して多くなります。Bは右半結腸(上行結腸~横行結腸)での解析ですが、傾向は似ていますが、大きな差は検出されていません。Cでは左半結腸(下行結腸~肛門)での解析では全体の解析と同様の結果です。

Dの全体の大腸がんの死亡率のデータは大腸内視鏡検査を受けたグループで明らかに死亡率が低いことがわかります。Eは右半結腸(上行結腸~横行結腸)での解析ですが、傾向は似ていますが、大きな差は検出されていません。Fでは左半結腸(下行結腸~肛門)での解析では全体の解析と同様の結果です。

-便潜血検査で大腸内視鏡検査を受けることで、集団で最初は大腸がんの診断は増えるが、同時に癌に進化する大腸ポリープが切除され、徐々に大腸がんの発生が少なくなる

-右半結腸(上行結腸~横行結腸)は大腸内視鏡の質の問題や手技の難しさ、またsessile serated adenoma/polyp (SSA/P)と呼ばれる発見が難しいポリープの存在があり、十分に大腸内視鏡検査の威力が発揮できていない可能性がある

-40歳代では大腸がんの死亡リスクが高い背景は不明だが、若いうちに大腸内視鏡を受けることで長期的な大腸がんのリスクを減らすことができる可能性がある

前回と連続で便潜血検査の陽性の場合での大腸内視鏡を受けないことのリスクを考えてみました。結果としては大腸内視鏡を受けないと2倍の大腸がん死亡のリスクがあることになります。また特に50歳以下の方は受けることで長期的なリスクの低減が期待できるかもしれません。便潜血検査の結果を放置することなく、是非消化器内視鏡専門医にご相談ください。

Zhu Y et al. Nonadherence to Referral Colonoscopy After Positive Fecal Immunochemical Test Results Increases the Risk of Distal Colorectal Cancer Mortality. Gastroenterology. 2023;165(6):1558-60.e4.

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