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膵臓がんのリスク因子とは?

膵臓がんは全てのがんの中で最も進行が早く、予後の悪いがんの一つです。私の専門も膵臓がんなどの内視鏡治療です。テレビで著名人が膵臓がんと診断され化学療法(抗がん剤)を開始するニュースや訃報を見たりすると胸が苦しくなります。膵臓がんは症状が出た段階で見つかると切除不能なことが多く、また早期発見が非常に難しいことで有名です。今回は膵臓がんのリスク因子について解説します。

膵臓は胃の後ろ側に位置する横長の臓器で、15~20cmくらいの大きさです。右側から膵頭部、膵体部、膵尾部に別れます。機能としては消化液として膵液を放出する外分泌機能と、インスリンなどのホルモンを放出する内分泌機能があります。消化液の膵液は膵臓の中の膵管を通り、十二指腸の乳頭より腸管内に分泌されます。

膵臓がんのリスク因子には様々な報告がありますが、主な因子として喫煙(21%)、空腹時高血糖(8.9%)、肥満(6.2%)があります。以下いくつかの側面からリスク因子を考察していきます。

タバコに起因する膵臓がんは11~32%と言われております。いくつかの観察研究(症例対象研究とコホート研究)の報告によると喫煙による膵臓がんのリスク(相対リスク)は1.5倍とされています。なお喫煙量が増えればリスクも同じく増えていきます。禁煙すれば膵臓がんのリスクは低下し、10~15年の禁煙で、非喫煙者と同レベルまで低下すると考えられています。

いくつかの研究で、肥満、運動不足と膵がんとの関連が示唆されています。BMIが30 kg/m2以上であることは、BMIが23 kg/m2未満の場合と比較して、膵臓がんのリスクが有意に1.7倍に増加すると報告されています。身体活動についても、運動を最もするカテゴリーの人と最も低いカテゴリーの人を比較すると膵臓がんのリスクは0.45倍とされています。

これらの関連性は長年議論になっていますが、結論は出ていません。

糖尿病と膵臓がんは密接な関係があります。なぜなら膵臓で血糖を低下させる唯一のホルモンであるインスリンが分泌されるからです。精度の高いメタ解析で糖尿病のない人の膵臓がんのリスクは約2倍であるとされています。一方、糖尿病は膵臓がんの原因ではなく結果であるともされています。よく急激な血糖異常が出現し、精査をすると膵臓がんが見つかることはよくあります。糖尿病と膵臓がんは密接な関係があります。

膵臓がんの患者さんの5~10%に膵臓がんの家族歴があることが知られています。膵臓がんの治療の専門家としては、この遺伝的要因はほぼ間違いないと考えております。膵臓がんの家族歴を手がかりに、膵臓がんが早期発見できるシステム構築が膵臓がんを専門家の夢でもあり、また目標でもあります。

アルコールの摂取と膵臓がんの関連は議論になっていると述べましたが、慢性膵炎を経由する膵臓がんは別です。非遺伝性の慢性膵炎はほとんどの場合は飲酒と関連しています。慢性膵炎の経過で累積の膵臓がんリスクは10年で1.8%、20年で4%とされています。慢性膵炎の方は定期的な画像での経過観察が必要です。

膵臓に袋状の嚢胞ができるがあります。そのうちIPMN (膵管内乳頭粘液性腫瘍)と呼ばれる嚢胞は経過中に膵臓がんを発症する可能性があり、定期的な画像検査が推奨されています。検診の腹部超音波で膵臓に嚢胞が指摘された場合は超音波内視鏡(EUS)やMRIでの画像検査が推奨されています。

膵臓がんは早期発見が難しく、また根治が難しい疾患です。膵臓がんのリスクをしっかり理解し、生活習慣の改善や、家族歴がある場合は定期的な画像での評価が望まれます。わからないことがあれば何でもご相談ください。

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