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膵嚢胞を指摘されたら、どうしたらいいの?

膵臓に袋状の構造物である嚢胞を指摘されて消化器内科の専門外来を受診される方がいます。膵嚢胞は基本的に症状がなく、偶発的に検査で発見される場合がほとんどです。膵嚢胞はほとんどの場合、悪性の組織ではないですが、まれに膵臓がんを合併する場合があり、膵臓がんの早期発見のサインになることがあります。今回は膵嚢胞の鑑別とその後の経過観察について考えます。

膵嚢胞は大きく分けると2つのタイプがあります。非腫瘍性の嚢胞と腫瘍性の嚢胞です。さらに腫瘍性の嚢胞は漿液性のタイプか粘液性のタイプに分類されます。漿液性とはサラサラする液体が主成分の嚢胞です。一方、粘液性はドロドロする液体が主成分の嚢胞です。また充実成分がメインな嚢胞性腫瘍もあります。診断は画像検査での判断となり、膵嚢胞が指摘された場合は、MRCP(胆膵MRI)や超音波内視鏡での精査が必要です。

急性膵炎や慢性膵炎の後の液体貯留です。基本的に腫瘍ではないため切除は必要ありません。ただし、急性膵炎の後の嚢胞は壊死組織の成分を含む場合や、また感染を合併することがあるため、感染した嚢胞をドレナージ(排液)する必要がある場合があります。

外科手術の後に膵管の吻合が不完全であった場合などに膵管から膵液が漏れる膵液瘻を形成することがあります。この嚢胞も感染症などの合併の可能性もあり慎重な経過観察が必要です。(術後の急性期の変化なので、偶発的に見つかることはありません。)

漿液性成分の小さい嚢胞が集簇したタイプの嚢胞です。基本的に良性腫瘍であり、経過観察のみで手術の必要はありません。まれにサイズが大きくなり、胆管などを圧迫する所見などがあれば切除が検討されます。

膵嚢胞では一番頻度が多い嚢胞です。60~70歳台の男性に好発します。ぶどうの房状の嚢胞など、いろいろな形態を呈します。嚢胞ができている部位により分岐型、主膵管型、混合型に分類されます。分岐型がほとんどで、サイズや形態によって方針が決まります。主膵管型と混合型は手術が検討されます。

40〜60歳の女性に多い粘液性嚢胞です。好発部位は膵体部〜尾部です。形態としては巨大単房性・多房性腫瘍(夏ミカン状)が特徴的な所見です。基本的に増大はゆっくりですが、悪性化のリスクがあり、MCNは可能であれば切除が望まれます。

IPMNは主膵管型と混合型は手術が前提となります。一方、分岐型IPMNの場合はサイズや形態により方針が決まります。分岐型IPMNは徐々に増大することで将来的に悪性化し、膵臓がんになるリスクがあります。しかし、この膵臓がんはIPMCと呼ばれ、通常の膵臓がん(膵管がん)と比較すると悪性度は高くありません。そのためIPMNの膵臓がんは早期に悪性化の兆候を掴むことができたら、根治できる可能性が通常の膵臓がん(膵管がん)より期待できます。ですので、定期的な画像や腫瘍マーカーの測定での厳重な経過観察が必要です。経過観察中に以下の所見があるかどうか、我々専門家はチェックしています。そして、次回の検査間隔を決定していきます。

① 閉塞性黄疸を伴う膵頭部嚢胞性病変

② 造影される嚢胞内の充実成分

③ 主膵管径 ≧ 10mm

① 膵炎症状

② 嚢胞径 ≧ 30mm

③ 肥厚し造影される嚢胞壁

④ 主膵管径5-9mm

⑤ 造影効果のない壁在結節

⑥ 尾側に閉塞性膵炎を伴う主膵管狭窄

⑦ リンパ節腫大

膵嚢胞が発見された場合、まず消化器内科専門医、特に胆膵領域を専門にしている専門医を受診してください。そして各種画像検査や血液検査で嚢胞の診断を行い、適切に経過観察を受けていただくことが必要です。わからないことがありましたら、何でもご相談ください。

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