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胃がん検診:あなたは胃カメラ派?バリウム派?

新年度が始まり、そろそろ“あれ”が始まります。東広島市の元気すこやか健診です。胃がん検診は元気すこやか健診の項目になっております。みなさん疑問に思うことがあると思いますが、なぜ胃がん検診には2つの検査があるのでしょうか?またどっちを選んだらいいか迷いませんか?実は10年以上前までは胃がん検診と言えばバリウム検査(胃透視検査)の一択でした。そこで精査が必要な方が胃カメラ(胃内視鏡検査)を受ける流れでした。バリウム検査は放射線技師が実施し、胃カメラは医師が実施する検査でした。そのため医師が不要であるバリウム検査は移動式の車でも実施できる検査として大量の検診受診者に対応ができました。その後胃カメラの技術の進歩と疫学研究が進み、2016年2月に厚生労働省から示された「がん予防重点教育及び検診実施のための指針」において、以前から行われているバリウム検査に加えて胃カメラが胃がん検診に推奨されました。

私は迷わず胃カメラ派です。恐らく内視鏡を専門とする消化器内科医はほとんどが胃カメラ派だと思います。その理由が今は内視鏡のカメラの性能が飛躍的に向上し、以前と比べるとカメラも細くなり、体への負担が減っているためです。またバリウム検査で“要精査”と判定された場合、次に胃カメラが行われます。それならば最初から胃カメラの方がいいと思う方が自然かもしれません。胃カメラとバリウム検査は共にメリットとデメリットがあり、それらを総合的に判断して決める必要があります。

胃カメラの一番のメリットは診断の正確さです。胃の内側を直接見ることができるため、わずかな凹凸が特徴的な早期胃がんも発見が可能になります。さらに病変を見つけた際にはその場で組織を採取し病理診断が可能です。また併せて食道、十二指腸も評価できます。時間も5-10分で終了するため、時間的な拘束も短くなります。

喉の違和感と痛みに耐えられない人には辛い検査です。しかし、鎮静剤の選択肢も増えたことで軽減することは可能です。内視鏡検査による粘膜損傷や出血などのリスクもデメリットに含まれます。また費用もバリウム検査よりやや高価になります。

胃全体の変形を捉えやすく、特にスキルス胃がんの発見に有益とされています。ただし、スキルス胃がんは胃がんでも非常に稀な胃がんであり、集団検診としてのメリットではありません。バリウムが飲めれば胃カメラより喉の苦しみは少なくなります。

放射線の被曝があります。稀ですがバリウムの誤嚥による肺炎や、バリウムがなかなか排便されない場合に腸閉塞が起こることがあります。また近年バリウム検査の画像の読影ができる消化器内科医が減っていることも体制維持としてのデメリットになります。

胃カメラとバリウム検査のそれぞれのメリットとデメリットを述べましたが、結局のところ内視鏡専門医としては胃カメラ一択です。皆さんに精確で安全な内視鏡を届けることが我々内視鏡医の役割です。何かわからないことがあれば何でもご相談ください。

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医療法人社団あんず会 本田クリニック

副院長 本田寛和

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