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宿便って何? 便秘との違いや原因、セルフケアのポイントを解説します

「なんだかお腹が重い」「毎日お通じがあるのにスッキリしない」と感じたことはありませんか? もしかしたら、それは「宿便」が原因かもしれません。

今回は、消化器内科の専門医が、一般的にはあまり知られていない「宿便」について、その正体から便秘との違い、原因、そして自宅でできるセルフケアのポイントまで、徹底的に解説します。

そもそも「宿便」って何?

「宿便」という言葉は、医学的な正式名称ではありません。一般的には、腸壁にこびりついて長期間滞留している便や、古い便のことを指す俗語として使われています。

しかし、消化器内科医の視点から言えば、「宿便」は、いわゆる「便秘」とほぼ同義と捉えています。便秘が続くと、腸内に便がたまり、それが「宿便」と呼ばれる状態になるのです。

「宿便」という言葉を聞くと、「腸にカビが生えた便が何十年もこびりついている」といった恐ろしいイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは誤解です。腸の粘膜は常に新陳代謝を繰り返しており、便が何年もこびりつき続けることはほとんどありません。

ですから、過度に不安になる必要はありませんが、「宿便」という言葉が示すように、腸内に便が停滞している状態は、さまざまな不調を引き起こす可能性があるため、軽視してはいけません。

便秘と宿便の違いは?

では、「便秘」と「宿便」はどのように違うのでしょうか?

  • 便秘:医学的には、「3日以上排便がない」「毎日お通じがあっても、残便感がある」などの状態を指します。排便回数の減少や、便が硬くて出しにくいといった症状も含まれます。
  • 宿便:医学用語ではなく、便秘によって腸内に長期間たまった便を指す俗語です。

つまり、「便秘」という病態の結果が、「宿便」と呼ばれる状態だと考えてください。便秘が続けば続くほど、腸内の便は古くなり、その量も増え、より「宿便」という状態に近づいていくのです。

宿便が引き起こすかもしれない「不調」とは?

「たかが便秘」と軽く考えてはいけません。腸内に便が滞留することは、全身にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

  • お腹の張り、痛み、不快感:腸内に便がたまると、腸内ガスが増え、お腹が張ったり、腹痛が起こったりすることがあります。
  • 肌荒れや吹き出物:腸内環境が悪化すると、悪玉菌が増え、有害物質が作られやすくなります。これらの有害物質が血液を通して全身に運ばれ、肌のトラブルを引き起こすと考えられています。
  • 口臭・体臭の悪化:腸内で発生した有害物質が、血液を通じて肺に運ばれ、口臭の原因になることがあります。また、皮膚からも放出され、体臭につながることもあります。
  • 肩こりや冷え:腸内環境の悪化は、自律神経のバランスを乱すことがあります。これにより、血行不良や冷え、肩こりなどの症状が出やすくなることがあります。
  • 免疫力の低下:腸には、全身の免疫細胞の約7割が存在すると言われています。便秘によって腸内環境が悪化すると、免疫機能が十分に働かなくなり、風邪をひきやすくなるなど、免疫力の低下につながることがあります。
  • 精神的な不調:腸は「第二の脳」とも呼ばれ、心の状態に深く関わっています。便秘が続くと、イライラしたり、気分が落ち込んだりすることがあります。
  • 痔のリスク:硬い便を無理に出そうとすると、肛門に大きな負担がかかり、切れ痔やいぼ痔の原因になります。

これらの症状に心当たりがある方は、単なる便秘と軽視せず、腸内環境を整えることが大切です。

宿便の原因は? なぜ腸に便がたまるの?

腸に便がたまってしまう原因は、人によってさまざまです。主な原因を見ていきましょう。

1. 食生活の乱れ

  • 食物繊維の不足:便のかさを増し、腸の動きを活発にする食物繊維が不足すると、便が硬くなり、スムーズに排泄されにくくなります。
  • 水分不足:便を柔らかくするために、水分は不可欠です。水分摂取量が少ないと、便が硬くなり、腸内で停滞しやすくなります。
  • 脂質の不足:適度な脂質は、便の滑りを良くする役割があります。過度な脂質制限は便秘につながることがあります。

2. 運動不足

  • 腹筋が弱いと、排便時に十分にいきむことができず、便を押し出す力が弱くなります。
  • 運動不足は、腸のぜん動運動(便を運ぶための波打つような動き)を鈍らせる原因にもなります。

3. 生活習慣の乱れ

  • 睡眠不足:自律神経の乱れにつながり、腸の動きを鈍らせることがあります。
  • ストレス:ストレスは自律神経のバランスを崩し、腸のぜん動運動を妨げます。
  • 不規則な生活:毎朝決まった時間にトイレに行く習慣がないと、排便リズムが乱れてしまいます。

4. 無理なダイエット

食事量を極端に減らすと、便の材料となる食物が不足し、便のかさが減ってしまいます。

5. 加齢

  • 加齢に伴い、腸のぜん動運動が弱くなったり、腹筋が衰えたりすることで便秘になりやすくなります。

6. 病気や薬の影響

  • 大腸の病気(大腸がん、過敏性腸症候群など)が原因で便秘になることもあります。
  • 特定の薬(鎮痛剤、抗うつ薬、咳止めなど)の副作用で便秘になることもあります。

ご自身の便秘がどのタイプに当てはまるか、考えてみましょう。

宿便をためないためのセルフケアのポイント

宿便を解消し、ためないようにするためには、日々の生活習慣を見直すことが最も重要です。ご自宅でできるセルフケアのポイントをいくつかご紹介します。

1. 食生活の改善

  • 食物繊維をしっかり摂る:水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく摂ることが大切です。
    • 水溶性食物繊維:水に溶けて便を柔らかくし、善玉菌のエサになります。海藻類(わかめ、昆布)、果物(りんご、バナナ)、野菜(ごぼう、にんじん)に多く含まれます。
    • 不溶性食物繊維:水分を吸収して便のかさを増やし、腸を刺激してぜん動運動を促します。穀類(玄米、オートミール)、豆類(大豆、小豆)、きのこ類に多く含まれます。
  • 水分補給をこまめに:1日あたり1.5~2リットルを目安に、こまめに水を飲む習慣をつけましょう。特に、起床後すぐにコップ一杯の水を飲むのは、腸を刺激するのに効果的です。
  • 発酵食品を積極的に摂る:ヨーグルト、納豆、味噌、漬物などの発酵食品は、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える助けになります。

2. 適度な運動

  • ウォーキングや軽いジョギング:全身を動かすことで、腸のぜん動運動が活発になります。
  • 腹筋を鍛える:腹筋を強化することで、排便時のいきむ力を高めます。
  • ストレッチやヨガ:体をひねる動きは、腸への刺激になり、便通を促す効果が期待できます。

3. 規則正しい生活習慣

  • 朝食をしっかり食べる:朝食は、腸のぜん動運動を促すためのスイッチです。
  • 決まった時間にトイレに行く習慣:朝食後など、毎日同じ時間にトイレに行く習慣をつけることで、排便のリズムが整います。
  • 便意を我慢しない:便意を我慢すると、便がさらに硬くなり、排便が難しくなります。

4. マッサージ

おへその周りを「の」の字を描くように、優しくマッサージしてみましょう。腸の動きを促す効果が期待できます。

どこまでセルフケアで大丈夫? 病院に行くべきタイミングとは

多くの場合、上記のようなセルフケアで便秘が改善することがあります。しかし、以下のような場合は、自己判断せず、消化器内科を受診することをお勧めします。

  • セルフケアを続けても改善しない:2週間以上セルフケアを続けても便秘が改善しない場合。
  • お腹の痛みがひどい、発熱がある、吐き気がするなど、便秘以外の症状が伴う場合。
  • 血便がある、便が細くなった、便の色が変わったなど、便の様子に異変がある場合。
  • 市販の便秘薬を使っても効果がない、または便秘薬がないと排便できない状態が続いている場合。
  • 急に便秘になったなど、これまでになかった便秘が始まった場合。

これらの症状は、大腸の病気(大腸がん、腸閉塞など)が隠れている可能性も否定できません。特に、40歳以上で、これまで便秘の経験がなかったのに急に便秘になった場合は、速やかに医療機関を受診してください。

当クリニックでは、患者様一人ひとりの症状や生活習慣を丁寧に伺い、適切な検査や治療方法をご提案しています。まずはご自身の便秘の原因を知ることが、改善への第一歩です。おひとりで悩まず、お気軽にご相談ください。

まとめ:宿便をなくして、健やかな毎日を

「宿便」という言葉に、過度な恐怖心を持つ必要はありません。その正体は、便秘によって腸にたまった便です。しかし、たかが便秘と放置すると、全身にさまざまな不調を引き起こす可能性があります。

日々の食事、運動、そして規則正しい生活習慣を意識するだけで、腸内環境は大きく変わります。そして、もしセルフケアで改善しない場合は、迷わず医療機関にご相談ください。

腸をきれいに保つことは、健康な毎日を送るための大切な土台です。この記事が、皆さんの健やかな生活の一助となれば幸いです。

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