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体重減少の背景に潜む病気とは?健康的な減量との違いを知ろう

「最近、何もしていないのに体重が減ってきた…」
このような変化に気づいたことはありませんか?多くの人は、ダイエットをして体重が減ると「うれしい」と感じるかもしれません。しかし、自分の意思とは関係なく、自然に体重が減ってきた場合は、注意が必要です。この記事では、体重減少の定義や一緒に現れやすい症状、考えられる病気についてわかりやすく解説します。

体重減少とは?どのくらい減ると「異常」なのか

健康的な範囲での減量は、生活習慣の改善や運動によるものが多く、基本的には問題ありません。しかし、意図せず体重が減っていく場合、それは「病的な体重減少(unintentional weight loss)」と呼ばれ、何らかの身体の異常が背景にある可能性があります。

医学的な定義

一般的には、以下のいずれかを満たすと「病的な体重減少」と判断されます。

  • 6か月以内に5%以上の体重減少
  • 1年で10%以上の体重減少

たとえば、60kgの人が半年で3kg以上、または1年で6kg以上減少した場合は注意が必要です。

体重減少に伴って起こりやすい症状

体重が自然に減ってきたときは、以下のような症状が同時に現れていないかも重要な手がかりになります。

  • 食欲低下(食べる量が減ってきた)
  • 倦怠感(だるさ、疲れやすさ)
  • 発熱(微熱が続く)
  • 寝汗(夜間にびっしょり汗をかく)
  • 下痢や便秘の持続
  • 吐き気や嘔吐
  • 精神的な落ち込み、不安感
  • 喉の渇きや頻尿

これらの症状は、体重減少の「原因」ではなく「結果」であることもありますが、多くの場合は原因となる病気のヒントとなります。

体重減少を引き起こす主な原因と疾患

体重減少の背景にはさまざまな疾患や病態が存在します。以下に主な原因をいくつかのカテゴリに分けて解説します。

① 消化器系の病気

胃がん・大腸がん

食欲低下や消化不良、便通異常を伴いながら進行し、体重減少がみられることがあります。特に進行してから発見されることも多く、注意が必要です。

潰瘍性大腸炎・クローン病

腸の慢性的な炎症による吸収不良が原因で体重減少が起きます。下痢や腹痛を伴うことが多く、若年者にも見られます。

吸収不良症候群

慢性膵炎や胆道疾患、セリアック病(小麦アレルギー)などでは、食べたものの栄養がうまく吸収されずに体重が減っていきます。

② 内分泌・代謝性疾患

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

甲状腺ホルモンの過剰により代謝が亢進し、食欲はあるのに体重が減る、汗をかきやすい、動悸があるなどの症状が現れます。

糖尿病(特に1型)

血糖が高くなる一方で、身体はエネルギーをうまく利用できないため、脂肪や筋肉が分解されて体重が減少します。口渇・多飲・多尿も特徴です。

③ 感染症

結核

長引く咳や微熱、寝汗などを伴い、体重が徐々に減っていきます。日本では高齢者や免疫力の低下した人に再発することもあります。

HIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)

初期は風邪のような症状ですが、免疫力の低下とともに、体重減少、発熱、下痢、全身の感染症が現れてきます。

④ 悪性腫瘍(がん)

体重減少はがんにおける最も重要なサインの一つです。がん細胞は大量のエネルギーを消費し、体の筋肉や脂肪を分解させてしまうため、急激な体重減少が見られます。

胃がん、食道がん、大腸がん、膵臓がん、肺がん、肝臓がん、白血病、悪性リンパ腫など多くのがんで共通して起こります。

⑤ 精神・神経疾患

うつ病

精神的ストレスや意欲の低下により、食欲がなくなり体重が減少します。睡眠障害や気分の落ち込みを伴うことが多いです。

摂食障害(拒食症・過食症)

特に若年女性に多く見られ、食べることへの極端な不安や自己イメージのゆがみが背景にあります。拒食症では深刻な体重減少が起こり、生命の危険を伴うこともあります。

⑥ 薬剤・生活習慣・高齢

  • 抗がん剤、抗うつ薬、糖尿病治療薬などの副作用
  • 喫煙や過剰なアルコール摂取
  • 高齢に伴う咀嚼力・嚥下力の低下、食欲の減退

こうした薬剤や生活習慣、老化現象も体重減少を招く要因です。

体重減少に気づいたらどうすればいい?

まず「体重記録」をつけましょう

思い違いではないかを確認するためにも、毎日の体重を同じ時間帯・条件で測定し、記録することが大切です。

1か月以上体重が減り続ける場合は受診を

短期間の体重減少でも、5%を超える場合や他の症状を伴う場合は、消化器内科や内科を受診しましょう。血液検査や画像検査、必要に応じて内視鏡検査などが行われます。

無理なダイエットは要注意

若い人に多いのが、無理なダイエットによる健康被害です。体重が減っていても「痩せてきれいになった」と自己評価してしまい、異変に気づかないことがあります。

まとめ:体重減少は体からの「サイン」

体重が意図せずに減っているとき、それは身体からのSOSかもしれません。
健康的な減量は、適切な食事管理と運動によるものです。しかし、そうでない場合には、思わぬ病気が隠れていることがあります。体重減少だけでなく、その他の症状にも目を向け、少しでも気になる変化があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

参考文献

  1. 日本内科学会雑誌「不明熱と体重減少の鑑別診断」
  2. 厚生労働省「がんの統計」
  3. 日本甲状腺学会「甲状腺疾患診療ガイドライン」
  4. Merck Manual, Professional Version: Unintentional Weight Loss
  5. Mayo Clinic: Unexplained weight loss

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